お客様のニーズから生まれたアーキペラーゴ

「設計事務所に家づくりを依頼したい」お客さまに、デザインやスタイルを重視した家にしたいという方がいらっしゃいました。しかも、ジューテックホームの機能性住宅にも関心をお持ちで、居住性能にも妥協したくないというご要望でした。数回の打ち合わせを重ねるなかで、お客さまの結論は「設計は坂下さん、施工はジューテックホームで出来ませんか?」という、これまでにない「イレギュラーな提案」を投げかけられたのです。

アーキペラーゴはこうして生まれた

「建築家」と「ハウスメーカー」の家づくりは向いている方向が全く違う!と考えていた私は当時、躊躇しましたが、お客さまの熱意に打たれ、結局、このプロジェクトをお引き受けすることにしました。
従来、建築家の家づくりは、お客さまの想いや要望を引き出し、そこから自由な発想でプランを導き出します。そして、その意図を理解してくれる工務店(施工会社)が忠実に、建築施工します。一方、ハウスメーカーは耐震・耐久性や快適性などの住宅性能、費用対効果など「効率性」を重視したオールインワンの住まいづくりでお客さまのニーズに応えるために、自由度は一般的に制約されがちです。ただ、自由度を重視するあまり、従来の多くのデザイン住宅は、「快適性」を犠牲にしてきた一面も正直あります。それぞれ住まいづくりの視点や方向性がまったく異なるため、お客さまの「提案」を実現するためには、クリアしなければならない大きなハードルが数多くありました。

0 ゼロからのスタート

実現のためには、家づくりのスペシャリストが結集して、綿密なディスカッションが可能なプロジェクトチームが必要でした。「高気密・高断熱・高遮熱性能」やフロア全面の「蓄熱式温水床暖房」など、ジューテックホームの素晴らしい住宅性能を、どのように活かしていくのか、お互いが手探りの状態から、新たな取り組みは、スタートしました。感性やそれまでの経験はもちろん、常に柔軟な発想が求められます。ただ、理想のスタイルを高い住宅性能で支えた住まいなら、「これまでにない!いいものになる」という確信はありましたね。方向性の異なっていたメンバーが、今までの従来の枠を超えてタッグを組む―――こうしてアーキペラーゴ・プロジェクトは始動しました。

相反するベクトルがクロスオーバーする

この初めてのプロジェクトで、完成した住まいに、お客さまは大変ご満足いただけた様子でした。
プロジェクトチームの面々も予想を超える達成感を味わい、次へつなげたいという意識も高まりました。
そんな中、ハウジングディレクターとして当時、チームをまとめていたジューテックホームの河合氏から「坂下さん・・・これからもこの家づくり!当社とコラボして続けてみませんか?」という提案。こうして新たなブランド・アーキペラーゴが誕生しました。

各スペシャリストが結集して「理想の住まい」を生み出す

アーキペラーゴの意味は「群島」。響きも意味も私の好きな単語です。多くの人が関わるなかで進められる家づくり。いい家をつくるためには、建築家、構造技術者、インテリアコーディネーター、ハウジングディレクター、施工管理者など、各分野のスペシャリストが集結して、意識を共有しながら上手く機能しなければ成し遂げられないと、私は考えています。家づくりのスペシャリストが、アーキペラーゴ(群島)のひとつひとつとなって、街並みの中に「キラ星のような理想の住まい」を生み出す。このプロジェクトの価値はそこにあります。

じっくりと 間をかけることで、未来の暮らしを育む

いつも白紙の状態からスタートするアーキペラーゴ。そこで大切なのが、これからの住まいや暮らしに対するお客さまの「ぼんやりとしたイメージ」。建築家は、その想いや要望に真摯に耳を傾け、イメージを膨らませていきます。お客さまの「未来の住まいの風景」を想い描きながら、プランを徐々に具現化していきます。プランニングには、お客さまが「これしかない」と思えるまで、時間を惜しみません。
少しでも違うなと感じたら、何度でも図面を引き直します。住宅は準備期間よりも、出来上がってからの生活の方がはるかに長いのですから、ここはじっくり時間をかけるべきです。そしてお客さまの要望に、一歩先のプラスアルファの提案で応えたい、良い意味のサプライズも必要でしょう。お客様の未来の暮らしを見つめながら進めていく住まいづくりは、とても楽しい。この濃密な時間が私は大好きです。

自らアーキペラーゴに住まう。

工房兼住宅の…私の家もアーキペラーゴです。クライアントは私の妻、そして私自身――建築家が自らの家を建てるのは、とても苦しいものです。なぜなら自分たちの生活と、真正面から向き合わなければならないからです。「自宅の設計はしない」という建築家が多いのも、そのせいかもしれませんね(笑)。未来をイメージするのは骨の折れる作業でした。

私の理想は、ワンフロアに様々なシーンのある家。倉庫のように広いフロアに、キッチンがあり、リビングがあり、子供のスペースがあり、寝室もある。そんな家です。でも、実際には土地の制約があり難しいので、階層が分かれます。たとえ、どんな制約があっても、“ひろがり”を感じられる空間を創りたい。そして開けた高台の好ロケーションに完成した住まいは、暮らしに関わる内側を中心に考えて、外観はいたってシンプルに。室内は“開放感”と、どこにいても“人の気配”が感じられるような空間。北側の大きな窓からは、柔らかい日差し、眼下には穏やかに流れる用水路、春には満開の桜、そして花びらで埋めつくされた花筏。何度季節がめぐってきても“至福の時”を感じます。ここに住んで良かった、この家で良かったと実感する瞬間です。アーキペラーゴもまさにそうです。住む人を見守り、いつまでも“暮らす幸せ”が感じられる住まいを提案したいと考えています。